シャーデンフロイデのお供に
僕は一度死んでいます。
先日、2年ぶりに進級しました。つまり、2度留年しているのです。
今回は、留年した理由やその間に感じていたことについての独白です。
留年した理由。
まずロシア語が嫌いだったこと。
自殺かロシア語を勉強するかの二択を突きつけられたら、自殺を選んでしまいかねないくらい嫌いでした。
今思うと極度の視野狭窄だったと思います。
留年こそしたものの、必修以外の単位は全てとっているのがある程度証拠になるのではないでしょうか。
1限で他人の出席カードの代筆を8割方請け負う傍ら、専攻の授業にはほとんど出席しない、といった歪さも抱えていました。
不思議なもので、教室に入るだけで動悸を感じるのです。
当時は大学から300m程の距離に住んでいましたが、それでも教室が遠く感じるほど、嫌悪感が積もりに積もっていました。
それから、ソーシャルゲームへの現実逃避が加速したこと。
中1の終わりに部活をやめ、それからネットの世界に魅了されていた背景が強く影響したんだと思います。
純粋にゲームを楽しむだけでは物足りず、バイトで稼いだ金を片っ端から課金しまくりました。
大体学費1年分くらいですね。
イベント中の約2週間、18時間のプレイを毎日続けるなど、完全に中毒でした。
ソーシャルゲームのイベントは、現実の催し物とタイミングを合わせて行われることが多いです。
もちろん、正月もそのイベントの一つ。
2年前の正月、僕は一番熱心に育成していたキャラを大幅に強化することに成功しました。
(そのゲームでは、同じキャラを5枚引き当てることで必殺技が最大強化となります。この時僕は、新たに3枚そのキャラを引き当て、最大強化まであと一歩のところまで強化しました。もちろん課金です。)
天にも昇る気持ちでスクショを撮りまくり、ゲームに熱中する時間がさらに増えました。
祖父の訃報には目もくれずに。
祖父は数年前に脳梗塞で倒れ、半身不随で施設での生活を続けていました。
刺激のない日々。
脳は加速度的に衰え、娘である母のことも判別できないような状態でした。
正月には自作した米を使って餅を作ってくれるような人でした。
関わりが薄かったとはいえ、肉親の死に対して何の感情も抱かなかった、いえ、抱けなかったのです。僕は、すっかり共感力のない人間に成り果てていたのです。
世界は自分中心。
自分のことは棚に上げ、興味のない人間は簡単に切り捨てる。
他人に厳しく自分に甘い。
実にエゴイスティックでした。
おまけに向上心もない。
死んでいるのと変わらない2年間でした。
絶望的な現実、日に日に他人が信用できなくなる一方、バイト先に行くと大学名だけでチヤホヤされる。留年という汚点を隠すためにつき続ける嘘に精神を蝕まれていきました。
1年前まで僕は死んでいた。
僕の座右の銘は「自業自得」です。
ロシア語への絶望も、視野狭窄も、現実逃避も全て自分のせい。
散々、悲劇のように嘆いてきましたが全ては身から出た錆。
己の能力不足が招いた結果なのです。
僕は僕自身に期待するのをやめました。
そして、自分自身を墓場まで命を運ぶための装置だと再定義しました。
こんな僕でも、心臓が動く限り生き続けなければなりません。
それならば、乗り物は快適な方が良い。
過去が変えられないなら、その失敗を利用してやろうと思いました。
最大の課題となったのは、「何に対してもやる気が出ないこと」でした。
調べてみると、食事等ライフスタイルに関する数々の悪習慣により男性ホルモンの分泌が減り、モチベーションの低下が引き起こされることが判明。
ソシャゲ中毒の頃は、「空腹が満たせれば良い」くらいの感覚だったため、冷凍の唐揚げとごはんや、グラノーラに牛乳だけ、といった非常に偏った食事をしていました。
睡眠に関しても、日付変更直後のガチャと起床後のログインが体に染み付いていたため、寝落ちギリギリまでスマホを直視するありさま。
意志の力だとか才能だとか自己肯定感だとかそんな身もふたもないことをに悩む前に、改善できるところを改善して、それでもダメなら死のう、と決意し健康的なライフスタイルを目指し始めました。
何事にもそれを引き起こす条件が存在します。
悩むことは無駄だとは思いませんが、悩み続ける自分が嫌ならとりあえずその他の条件を整えてみよう、と考えています。
もちろん、過去の自分のことは好きにはなれません。どう考えても嫌いです。
それでも、そんな自分を生み出してしまった僕には、今の自分を大切にし、未来の自分に嫌われないようにする責任があります。
過去の自分が傷つけた方々には償いきれません。
これから出会う人、今関わっている人を大切にしたい。
気を配れる心の余裕を持ちたい。
そのために可能な限り良好な健康状態を維持するよう努めています。
健全な精神は健全な身体に宿る。
信じていいよね。
共感力を鍛えるため、物語に触れたり、人の話を聞く練習も始めました。
まだまだ至らぬ点ばかりではありますが、出来る限り努力します。
悲劇でもなんでもない、積もり積もった怠惰が招いた空白の2年間。
消して忘れることのできない2年間。
いつか完全に乗り越えることができたら、同じような壁にぶつかっている誰かの手助けをしたいです。